2004-10-01から1ヶ月間の記事一覧

少数民族同化の日本の歴史と歴史教育の理想的な在り方

id:cosmo_sophy:20041030の記事に、Tさんからのコメントがあったので、それへの返事を書いたついでにそれに関連した『歴史教育の理想的な在り方』について小文を書きましたので、今日の日記に書き残しておきます。 興味を惹かれた方は、10月30日のコメ…

対談集『国家と戦争』を読んでの雑感

数年前に入手して積読していた座談集『国家と戦争』 飛鳥新社(ISBN:4870313715)を読んだ。漫画家・小林よしのり、評論家・西部邁、作家・福田和也、政治学者・佐伯啓思の対談集である。 どの方も相当に癖のある人物として知られていて、好きな人は好き、嫌い…

自由主義と現代社会

私達が戦後日本において享受した最大の権利といえば、あらゆる領域における『自由』です。『自由である事は正しく、自由でない事は間違っている』とは、文明的な産業の発達した経済社会や自由な雰囲気の漂う民主主義社会ではおよそ全ての人に共通する価値観…

新潟県中越地震:優太ちゃんの奇跡の救出

テレビでリアルタイムで長時間中継されていた皆川貴子さんと子ども達の救出作業を、時間を見つけて断続的ではあるが悲痛な思いで見ていた。 国道を完全に断絶させる大規模な山崩れによって、ミニバンの車体が垂直に土砂に突き刺さるかのような形で埋もれてい…

日本経済と金融政策。セーフティネットの必要性。

アメリカの連邦公開市場委員会(FOMC)が、民間設備投資や民間住宅の増加を軸にした景気の持続的拡大局面において、短期市場金利を年利1.25%から0.25%引き上げて、金融政策を正常化させる方向に動いたが、日本は以前、低金利の量的緩和政策を維持し…

『男と女の進化論』を読んでの雑感

正統派の自然科学者からはトンデモ系と言われる竹内久美子の『男と女の進化論 竹内久美子 新潮文庫』(ISBN:410123812X)を読んだ。 一応言っておくが、竹内久美子の本は、科学的知識を得る為の科学書でも進化生物学の入門書でもないし、科学的に正確な記述…

新潟中越地震

この間、月の引力が地震発生の引き金となるというニュースをブログに書いた二日後に、新潟で甚大な被害を引き起こした大地震が発生しました。 迅速な救助活動と避難生活に必要な食料等物資の配給活動が行われる様に祈っていますが、実際に被害に遭われた方の…

満足した豚と満足しない人間の差異について

ミルの質的功利主義を端的に示す言葉に、『満足した豚よりも、満足しない人間のほうが良い』『満足した馬鹿よりも、満足しないソクラテスのほうが良い』という言葉があります。 この言葉の意味する内容は、『知性・理性によって感得される快楽・利益』を『本…

月の引力が地震発生に関係している

毎日新聞 ―今日の話題― 地震:月引力が発生の最後の引き金 http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20041022k0000e040045000c.html その結果、地震を起こした断層面が両側から押されている「逆断層」型の地震は、月の引力と潮の干満による力の組み合わせ…

ベンサムの近代的な功利主義とエピクロスの古代的な快楽主義

前回、ベンサムの量的功利主義とミルの質的功利主義を粗描してみましたが、もう少しベンサムの考えた功利性というものを詳細に見ていこうと思います。 ベンサムの功利性とは即ち近代的な快楽主義(hedonism)です。古代的な快楽主義の代表者にエピクロス(Epiko…

快楽と利益を求める功利主義の強靭な影響力

哲学史上には、倫理の指標を取り扱う数多くの思想的立場がありますが、現代社会で優勢というよりは最早支配的と言える『自由主義(liberalism)』『功利主義(utilitarianism)』の基礎を論述したのはJ・S・ミル(John Stuart Mill 1806〜1873 英)です。 ミル…

ネット集団自殺の心理

皆野町、ネット集団自殺報道 ―毎日新聞― http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/10/14/20041014ddlk11040123000c.htmlインターネットの自殺サイトを媒介した自殺、自殺手段としての車内での練炭燃焼による一酸化中毒、閉塞した社会環境と絶望…

コンピューター倫理学と倫理を解剖する愉悦

倫理学には、生命倫理、医療倫理、企業倫理、性倫理など様々な分野を取り扱うものがあるが、ダートマス大学のジェームズ・ムーア教授のコンピューター・エシックス(computer ethics)に関する論文が嚆矢になったとされるコンピューター倫理学という新しい分野…

アメリカ大統領選に寄せて

前述したような社会保障政策を巡っての論争が、大統領選挙を11月に控えたアメリカでも活発に行われています。 共和党のブッシュは、新自由主義者らしく市場経済のメカニズムに全幅の信頼を寄せて、社会保障給付は最低限のラインに抑えたい考えを持ち、民主…

社会保障費増大の問題と保守・リベラルの対立

毎日新聞 ―医療― 社会保障給付:2100年推計は506兆円 制度持続は? http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/medical/news/20041015k0000m040077000c.html 三菱総合研究所は14日、約100年後の2100年段階で年金・医療・介護の社会保障給付費が…

『坊っちゃん』 夏目漱石 著 を読んで

昨日、久しぶりに夏目漱石の『坊っちゃん』を読んだ。 私は、夏目漱石の作品は、中学から高校時代までの間に大抵読んだのだが、その時期に読んで以来再読したものは数えるくらいしかない。漱石に関する詳細な文学や評伝の研究には触れた事は殆どありませんが…

アパシー・シンドローム(apathy syndrome)とうつ病:学生の無気力現象

うつ病は、ここ最近のテレビ・新聞などの報道やうつ病に似た憂鬱感や無気力の症状を経験する人の増加によって非常によく知られた精神障害(精神疾患)になっています。 その罹患率(生涯でうつ病に一度でも罹る確率は約10%)の高さから、軽症うつ病であれ…

グローバリゼーションの功罪と文化の固有性の喪失

冷戦構造の崩壊によって、自由経済市場が加速度的に未開社会を含む世界の全ての地域に拡大している。 それまで貨幣や商品が流通していなかった未開地域において市場経済化が進む事そのものが、良いことか悪いことなのか。経済学でいう所謂『規範的な部分』を…

フランスの哲学者ジャック・デリダ死去

仏哲学者のジャック・デリダさん死去 -asahi.com-http://www.asahi.com/obituaries/update/1010/001.html フランスの著名哲学者ジャック・デリダさんが8日深夜から9日未明にかけて、膵臓(すいぞう)がんのためパリの病院で死去した。74歳だった。AFP…

部分日食:北日本を中心に観測

毎日新聞―今日の話題― http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20041014k0000e040053000c.html 月が太陽の一部を隠す部分日食が14日午前、沖縄や九州南部を除く全国各地で見られた。国内の日食は02年6月11日以来で、観望会が各地で開かれた。 今回…

サリドマイドの個人輸入急増。薬害多発国の日本。

Yahoo!ニュース−社会−毎日新聞 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041010-00000014-mai-soci 1950〜60年代にかけて世界的に薬害を起こした鎮静・催眠剤「サリドマイド」が、がんなどの治療目的で日本に個人輸入されている問題で、03年度の輸入量…

現象学的還元を巡る考察:モノが『ある』とはどういうことか?

先日、フッサールの志向性にまつわる『ノエマ・ノエシス』の認識論を簡単に眺めてみたので、彼の著作の一覧を挙げておこうと思います。 フッサール(Edmund Husserl 1859〜1938)の著作 『算術の哲学』(1891)『論理学研究』全二巻(1900〜1901):最初の現…

アレルギーと免疫系

アレルギーという言葉は、ギリシャ語の『奇妙な・風変わりな』という意味の『アロス』という単語と、『機能・反応』を意味する『エルゴン』という単語を組み合わせて作られ、それをドイツ語風に『アレルギー』と読むようになったものです。 アレルギーという…

バイオプロスペクティング

前回書いた自然の虫を用いた治療の様に、植物の根・茎・球根・種や動物の内臓・ホルモンなどを利用する自然界の生物多様性を利用した治療法が注目されている。 今まで、人工的に合成された化学的薬剤を用いる西洋医学が主流であった医療界では、作用機序が科…

不思議な効果を持つ治療用の虫

米国で「治療用うじ虫」の生産が倍増 http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20041005306.html今日の話題は、虫と聞くだけで背筋がゾゾゾーと来るような虫嫌いな方には不向きの話題ですが、ローテクな自然の虫を用いて難治の『壊死した傷口』を治…

志向・指示するものと志向・指示されるもの

インマヌエル・カントが主観としての認識によって把握される『現象』と主観的意識から独立した客観としての『物自体』とを区別したように、哲学的思考の中ではしばしば意識(作用)と対象、更に対象の意味(内容)を区別して考える。この二項対立的な図式の…

シーパワーとランドパワーの外交戦略特性

前回は、シーパワーである日本が重視すべき交通路について書きましたが、今回は海洋国家と陸上国家の外交方略の特徴について大雑把に考えてみます。 ランドパワー(陸上国家)とは、海から切り離された大陸内部や半島内部、砂漠地帯、山岳地帯を生活拠点とし…

『プラハの春』 春江一也 著 を読んで

『プラハの春』 春江一也著 ISBN:408747173xを2ヶ月前から読んでいてようやく上下巻を今日読了した。 1967年に、ワルシャワ条約機構で結束した共産主義圏に所属するチェコスロバキアで起きた政治的抑圧に抵抗する自由化と民主化の運動『プラハの春』を…

シーパワーとランドパワーの政策方針

世界には実に約200の国々と無数の民族部族が存在するが、世界の有力な国々を大きく分割するとシーパワーとランドパワーに分ける事が出来ます。 シーパワーとは、アメリカ、イギリス、日本、オーストラリアなどに代表される海洋国家のことであり、ランドパ…

活性酸素と疾病・老化の相関

活性酸素という言葉が、医療・健康や美容に関わる色々な場面でよく聞かれるようになりましたが活性酸素とは一体どういった化学物質でどういった特徴を持ち、どのような作用を私達に及ぼすのでしょうか。 一般的に、活性酸素というものは酸化力が極端に強力な…