直観と分析

『何故、そう思ったの?』とよく人は質問する。
そして、よくある一般的な答えが
『直観だよ』というものである。

ユングは人間の心的機能を、『外向性・内向性』という二つの方向性と『思考・感情・感覚・直観』という4つの類型で考えたが、その中でも直観というのは一番理解し難い概念だ。いや、この際、分析心理学のユングの理論なんかはどうでもいいのだけれども。

私の考える“直観”の対極にある心的機能は、ユングが考えた“感覚”ではなく実は“思考”それも“分析的思考”なのです。
感覚というのは、私たちの感覚器官である目だと耳だとかで外界の対象や現象を認識することです。誰でも起きている間は、感覚機能を使い続けています。ボケーッと寝そべっていたって道路工事の音やセミの鳴き声が聴こえてくるし、テレビがついてれば光を目の網膜が捉えています。

直観というのは明らかに感覚とは切り離されています。また、それ以上に思考とは切り離されてるんです。
直観というのは、思考の前段階であり、感覚とは無関係なものとも言えるんじゃないかともまた思う。

直観は、思考という言葉によって考える機能ではなく、イメージによって一瞬にして押し寄せるものです。言語では直観はうまく表現できません。
だから、『直観によって物事を考える』という表現は適切ではなく『直観によって一挙に言葉によらず分かる』という表現が適切だと言えます。

人間の物事の理解は、『言語化できるもの』と『言語化できないもの』があります。
言語化できるものには、更に『数値化できるもの』と『数値化できないもの』がある。

ここで、簡単ながら、人間の理解即ち『知を形成する認識』によって4つの形象が明らかになったのではないかと思う。

  • 直観・想起・夢・・・言語化できないイメージ
  • 思考・分析・論理・・・言語化できる分析的思考
  • 物語・神話・経験・思弁哲学・・・数値化できない観念的思考
  • 計算・統計・関数・グラフ化・・・数値化できる科学的思考(定量化・定式化の可能性)