中絶胎児の廃棄問題

朝日新聞の記事
http://www.asahi.com/national/update/0720/003.html

を読んで、人工妊娠中絶の善悪と中絶後の胎児の処分の問題について考えさせられた。
胎児の生命の道徳的地位とはどのようなものか?とか中絶することは倫理的に善いのか悪いのかとかいう問題は中絶の倫理学なんだろうな。

それとは別に、『死んだ後の人間の処遇』という倫理的な問題もある。
胎児が、如何に一般の人とは法的立場も道徳的価値も異なるとはいえ、一応はヒトの形をして人間となり得る可能性を持った存在なのだから、それなりのリスペクトは払うべきだろう。しかし、胎児の遺体が廃棄物処理法で処分法を明記された『感染性廃棄物』というのも何となく無機的で冷淡な感じがする・・・。

うーん、『伊勢佐木クリニック』(原田慶堂院長)と病院名と個人名まで明らかになってるというのが、ある意味で社会的制裁なんだろう。
院長の命令で、胎児の手足をハサミで切断して一般ゴミに送っていたというが、感染性廃棄物として正規の処理業者に依頼すると費用がかかるとかそういう金銭的利益が動機になったのかな。いずれにしてもあまり気持ちのいい事柄ではない。

中絶件数が日本では多いというけど、妊娠を望まない場合の避妊の在り方について中学生くらいからしっかり教育するという事も必要だと思う。
中絶とか臓器移植、安楽死、先端生殖医療などを対象に、人間の行為の正当性の根拠を考える倫理学というのも複雑で厄介な分野だ。
元々、倫理学は哲学でも主流であった分野だけども。