医療事故検証を第三者機関へ

毎日新聞 健康
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/kenko/news/20041001k0000m040125000c.html


医療事故検証:
三者の専門医が調査 厚労省がモデル事業


 厚生労働省は来年度、手術などで患者が死亡した場合、中立的な第三者の専門医が死因と医療行為との因果関係を調査し、医療ミスの有無などを検証するモデル事業を5カ所程度で始める。数年かけて課題や最適な方法を探り、医療事故の減少につなげたい考えだ。

 来年度予算の概算要求に1億200万円を盛り込んだ。

 モデル地区では関係学会の協力を得て、患者が死亡した医療機関以外に所属する法医学や病理学の専門医が遺体を解剖するなどして死因を究明する。患者の疾患の専門医らとも協議し、医療ミスの有無や医療行為と死亡との因果関係について検証する。結果は当該の医療機関に伝え、再発防止策に役立ててもらうほか、医療機関を通じて遺族に情報提供することも検討している。

 医療ミスの有無を調べる第三者機関の設置については、4月に日本内科学会など4学会が提言した。9月30日にも医学関係の主要19学会が同様の声明を発表した。【西川拓】

これまで医療現場の閉鎖性と医師の権威主義によって、医師と患者の間には大きな立場の違いや極端な情報格差があったように思われる。
医師が処方する薬剤について必要以上に深入りした副作用やデメリットに関する質問をしたり、医師の治療方針に疑念を差し挟むことなどは通常なかなか出来るものではない。
下らない反論をして医師の機嫌を損ねたら、十分な医療を受けることが出来なくなるのではないかという不安や医学を修めた医師の言うことなのだからまさか間違ってはいないだろうという先入観が働く。
しかし、薬を飲んだり手術を受けることは患者にとっては自らの生命と健康に関わる重大事であることは確かであり、自分が処方されている薬剤の効果効能とは別にその副作用の危険性を知る事は当然の権利である。手術に際しても、その手術内容・方法や手術によって受ける可能性のある後遺症・副作用、手術の成功確率などについて十分に納得がいく説明を当然求めることが出来る。
これらは今まで散々に論じられてきたインフォームド・コンセントに関する事柄であると言えよう。

このニュースに関して言えば、医療事故の有無を当事者と関係の深い同じ病院の同僚によって編成される調査機関が調べるというのはどう考えてもおかしい。
犯罪や過失を調査する場合に、お互いに良い感情や印象を持っている仲間同士で調査したり捜査しても本当の調査結果が明らかになるはずはない。
医療ミス・医療過誤の有無をその病院と利害関係や人間関係のない第三者機関によって公正に調査し、その調査結果を遺族に情報開示することは、問題になっている医療不信・病院不信の改善へ大きな前進になるのではないかと思う。

医療ミスの調査とは別の話になるが、水増しの不正請求が多い事が暗黙の了解となっている診療報酬のレセプトも患者側に情報公開する改革を医療界で進めて欲しい。
不正請求などの問題がないとするならば、診療費を支払うときのレシートに支払いの個別項目を記載することに何ら問題はないはずだし、どういった内容の診療報酬を支払っているのかを知りたい患者も少なくないのではないだろうか。