地球の悠久なる歴史

私達の地球は、約45億6千万年前に誕生した。
地球の最も初めの時期を地質学の時代区分で、『冥王代(Hadean)』と呼んでいる。冥界・冥府の王プルートが住む場所をハディスといい、それが語源となっている。
冥王代を過ぎると、地球は太古代という地質年代に入っていく。

冥王代という名称は、何処か暗く淋しく神秘的な名称で冷え冷えとした無窮の時空を感じさせる。自然科学という情緒や感動を排除した客観的な学問にしては洒落たネーミングだと感心する。

さて、冥王代と太古代の区別は何処にあるのかというと、太古代とは最古の地層や岩石が生成された時代という定義がされていて、最古の岩石が見つかった時代以降が太古代と言う事になる。
1980年代までグリーンランドの太古代の地層イスアに依拠して、38億年前が太古代だとされていた。
すると、冥王代は45億6千万年前〜38億年前と言う事になる。しかし、1980年代以降に、グリーンランド以外の地域で、それよりも古い地層や岩石が発見されていて、今では最古の地層はグリーンランドではなく、カナダのアカスタ地域の39億8千万年前〜40億年前と言う事になっている。
グリーンランドとカナダ以外にも、アメリカ合衆国、中国、南極などでかなり古い地層や岩石が発見されているようだ。

しかし、現在、地球で最古の物質とされているものは地層でも岩石でもなく、西オーストラリアのジャックヒルという場所で発見された44億4百年前の『ジルコン』という粒子である。

地球は、太陽系と共に形成された。つまり、原始太陽系星雲ガスによって作られた。元々、初めからあった元素は、宇宙創世記に作られた水素とヘリウムだけであった。
水素とヘリウムよりも重い元素は、核融合によって他の星で合成された。しかし、星で合成できるのは鉄までの比重の元素であって、それ以上の重さの元素は、『超新星爆発』の時に合成されたのである。
私達地球を構成する元素という材料はこのようにして作られました。

ちなみに地球は宇宙全体では、もちろん、特別な特徴や組成を持つ惑星ではありません。
地球は太陽系ができる時に、他の惑星と同時に、同じプロセスを経て作られました。
地球にだけ特別な、材料、環境などの条件は考えられないのです。同様に、この太陽系自身も、宇宙全体では特別な環境ではありません。

しかし、最大の謎は、そのありふれた一般的な惑星である地球だけに生命が誕生したのか、あるいは、他の惑星にも同じような生命があるかもしれないがただ、余りにも遠すぎてコンタクトが取れないだけなのかと言う事なのです。
生命と生物、そして、進化論についても、また機会があればぼちぼち書いていきたいです。

原始太陽の周辺の空気・ガスは、初めめちゃくちゃに高温で熱かったのですが、太陽が成長してくるにつれて次第に冷えていきます。
ガスが冷えていくと、液体になり、更に凝固して微細な個体へと変化していきます。小さな粒子である個体は次々にぶつかり合って衝突し、更にぶつかった衝撃で幾つかの粒子が合体したりします。
粒子が相互に衝突し合っていると次第に大きな粒子が作られていくのですが、大きな粒子は小さな粒子を取り込むという特性をもちます。

その結果、大きな粒子はますます大きな粒子になっていき、粒子が石ころになり、石ころが更に大きな塊になって岩石になりといった形で成長していきます。
そういった相互に衝突し合う運動を繰り返すうちに、原始の惑星とでも呼ぶべき大きな個体が出来てきました。

大きな岩石が原始の惑星に衝突すると、その時の衝撃で『熱や圧力』が発生します。衝突した岩石に含まれていたガスの成分は衝突のときに岩石から抜け出していきます。それが原始の惑星の大気となりました。原始の大気は原始の惑星を厚くおおい、惑星の熱を逃がさないようにします。そして、次第に惑星の表面は恒星の熱などによって熱く温められていくのです。
原始惑星は、現在からは想像できない程に高熱の状態だったと考えられます。高温の部分は、岩石がドロドロに溶けて岩石の海(マグマオーシャン)となり地表を熱く燃やしました。

ここまで述べた地球の歴史は、地球の近くの水星、金星、火星などにも共通するもので、それらの惑星も地球と全く同じようなプロセスと歴史を経て誕生したと考えられています。