リーヌス・トーヴァルズというLinuxを立ち上げた人物についての評伝を読んだ。
知的所有権の偏狭な枠組みや既得権益の縛りを取っ払い、人類の共有財産としてソースやプログラムコード、システムを取り扱ったところにLinuxの成功の秘密があるらしいが、コンピューターに関してまるで門外漢な私はLinuxを実際に利用したこともないし、それに関する専門的な書籍を読んだ事もない(苦笑)

しかし、Linuxには、誰でもが使用できるオープンなソースコードが何テラバイトもあるらしい。想像を絶する膨大な容量のコードが、無数の匿名者によって産出されている点は面白いなと思う。


The Cathedral and The Bazaar(伽藍とバザール
http://cruel.org/freeware/cathedral.html

山形浩生の邦訳はなかなか面白い。

  • 1. よいソフトはすべて、開発者の個人的な悩み解決から始まる。
  • 2. 何を書けばいいかわかってるのがよいプログラマ。なにを書き直せば(そして使い回せば)いいかわかってるのが、すごいプログラマ
  • 3. 捨てることをあらかじめ予定しておけ。どうせいやでも捨てることになるんだから(フレッド・ブルックス『人月の神話』第11章)
  • 4. まともな行動をとってれば、おもしろい問題のほうからこっちを見つけだしてくれる。
  • 5. あるソフトに興味をなくしたら、最後の仕事としてそれを有能な後継者に引き渡すこと。
  • 6. ユーザを共同開発者として扱うのは、コードの高速改良と効率よいデバッグのいちばん楽ちんな方法。
  • 7. はやめのリリース、ひんぱんなリリース。そして顧客の話をきくこと 。
  • 8. ベータテスタと共同開発者の基盤さえ十分大きければ、ほとんどすべての問題はすぐに見つけだされて、その直し方もだれかにはすぐわかるはず。

リーヌスがやったことは、人間の知性や知識や発想を結集して、一人では発揮できない分析力や創造力が自然に横溢してくる環境を用意したことであり、人間の本質的な協働や創造の能力を刺激することだったのではないだろうか。