社会心理学

社会心理学(Social Psychology)について、北大路書房の『社会心理学辞典』では大略以下のように定義されている。


心理学はよく行動の科学として定義されるが、心理学の中で個人心理学を、環境との相互作用を行う生活体に注目し、生活体の条件が変わるに従って行動がいかに変わるかという問題意識から個人の行動を科学的に究明する学問と定義するならば、それに対して社会心理学とは、個人の行動を他者に対する刺激あるいは反応としてとらえ、他者との相互作用の観点から個人の行動を科学的に究明する学問ということができる。

研究領域が広いため、1つのはずの社会心理学の中に、社会学社会心理学と心理学的社会心理学の2つのアプローチの存在が指摘されることもある。社会学社会心理学とは、個人と社会の関わりを、社会学に傾斜した立場から解明しようとするものであり、社会過程を重視する社会心理学といえる。

政治的、経済的、社会的条件がいかに行動を規定するかが問われることになる。心理学的社会心理学といわれるものは、心理過程の分析を重視する。個人の行動の追求に主眼が置かれ、個人の行動を規定する要因の1つとして社会的条件に目を向けることになる。社会心理学における2つのアプローチは、『社会心理学』というタイトルの本が期せずして同じ1908年、社会学者のロス(Ross,E.A.)と心理学者のマクドゥーガル(McDougall,W.)によって出版されたことに奇妙に象徴されている。

社会心理学は、簡単に言えば、『個人』と『集団』の行動がどのように起きる傾向があるのかを科学的実証的に研究する学問です。
その場合に最も重視されるのは、個人間、集団間の相互的影響過程としてのコミュニケーションと社会的・心理的条件です。
私は、心理学という学問は行動の科学であり、心の科学でもあると考えていて、それを社会的条件の中で実践的に考える学問が社会心理学であると認識しています。
社会心理学では、他者や社会集団との関係性を考慮する事が一般心理学・個人心理学との最大の違いと言えるでしょう。

社会でおきる現象・流行・事件・政治経済活動などをより良く理解する為の一つの方策ともなる社会心理学の範囲は非常に広大で興味の尽きない学問領域ですね。
集団の中でのリーダー選出過程に影響する社会的条件や個人内の心理過程の研究などは、政治情勢を分析すう際に役に立ったり、ある商品が何故爆発的に売上げを上昇させているのかを情報の流通普及過程と生活地域におけるコミュニケーションの在り方から読み解いたり、宣伝広報活動と個人の消費活動についての分析などに貢献したりもします。更には犯罪心理学と関連する領域で、オウム真理教などのカルト宗教などで問題になっている洗脳などの心理現象も研究対象として取り扱っています。