ヒュームの著作。倫理道徳を語りたがる人間

前述したイギリスの哲学者デイビッド・ヒュームの著作には以下のようなものがある。

  • 『人間本性論』1739
  • 『道徳・政治論集』1741
  • 『人間知性に関する哲学論集』1748(後に『人間知性の探究』1758と改題)
  • 『道徳原理の探究』1751
  • 『政治論集』1752
  • 『英国史』1754‐1761
  • 『宗教の自然史』1755
  • 『自伝』1777
  • 自然宗教についての対話』1779

原書を読むのは流石にしんどいですが、いつか邦訳の全集ででもヒュームの著作は読んでみたいと思っています。
しかし、19世紀までの哲学の中心は倫理学や道徳論ですね。
一般に人気の高いニーチェサルトルハイデガーだとかショーペンハウアー、アラン、三木清だとか皆、『私達が如何に生きるべきか。何が正しくて何が間違っているのか。』といった倫理学的な問題を深く考察した人たちです。
孔子孟子老子、釈迦などの東洋哲学の泰斗たちも倫理道徳についてそれぞれの立場や思想から説得力のある基準や指標を述べていると言えるでしょう。
単一の正答のない問いかけだからこそ、私達は過去の先哲の言葉から何かヒントを得て自分なりに善悪を考えていきたいと思うのかもしれません。
過去の賢哲や偉大な思想家の言葉や教えそのものを無批判に従順に受け容れて信奉すれば、それは哲学や思索ではなく信仰という宗教領域に入ってしまうのでしょう。
その哲学・科学と宗教・信仰という二つの領域の境界線には、思考の主体性を維持したい人と手放すことで安心できる人との違いがあるのかもしれません。