分析哲学と科学哲学の関係

ウィトゲンシュタインは、世界を統一理論によって記述する野望を抱いた論理実証主義を標榜するウィーン学団に『論理哲学論考』を通して哲学的バックボーンを与えたとされる。
ウィーン学団は、哲学よりも科学を高く評価して、哲学から形而上学を排斥して科学化しようという意図を持っていた。ウィーン学団の創設主旨が書かれた『科学的世界把握』では、哲学は論理分析という手段を用いて『言明の明晰化』を果たすものとされ、その指導的代表者が言語哲学分野では、ラッセル、ウィトゲンシュタインであり、科学分野ではアインシュタインであった。

論理実証主義を支えている基本概念は、『論理のアプリオリ(先験的)な普遍的妥当性』と『感覚的な経験による実証性』である。
ウィトゲンシュタインは、論理をトートロジーの体系として考察し、論理のアプリオリな普遍的妥当性を基礎付けし、意味の検証理論によって新しい知識の確実性を確かめるには、感覚的な経験を通した実証が必要であるとした。
後者は、現代の科学理論を支える理念であり、科学性を保証する為の実証主義そのものである。ある理論や考えが主観的でなく一人よがりでないことを示す為には、誰にでも実験や観察を通して同じような結果が出なければならない。