ニ期目のブッシュ政権始動とアメリカ・日本の市場経済戦略


1月20日、アメリカのブッシュ大統領の政権2期目が、“世界秩序を維持する強いアメリカ”を前面に打ち出したワシントンでの就任演説と共に始動する事となりました。
現代の国際社会において、ブッシュが国民から民主的選挙を通して任命されたアメリカ合衆国大統領という地位は、アメリカ一国における元首やアメリカ軍の最高司令官を意味するに留まらず、世界の最高権力者の座を暗黙裡に指し示しています。
合衆国大統領という一個人の判断や命令が、世界市場経済や国際政治情勢の動向に大きく影響し、あるいは、アフガン戦争やイラク戦争に象徴的なようにアメリカが問題ありと指摘する一国の命運をも決定してしまいます。

アメリカのような大統領制に基づく大統領の権限と日本のような議院内閣制に基づく首相の権限には、圧倒的な指導力と強制力の違いがあります。
日本の議院内閣制は、国会で多数を占める与党の代表者が内閣総理大臣(首相)に指名され、天皇から任命される制度を採用している為、国会(与党)と内閣の関係が非常に密接で強固であり、与党からの首相に対する影響は無視できないほど強いものであり、かつて自民党の派閥政治の弊害と首相の指導力不足の問題として指摘されていました。
その為、閣僚(大臣)のほとんどは、政権与党内の国会議員の中から派閥の力関係を考慮して任命されるのが常でした。
国会には、首相の基本政策指針が了解できない場合には内閣不信任案という伝家の宝刀がありますから、首相は最低限、自らの出身である政権与党の支持を取り付けておかなければならないというのが常識的判断としてあり、政権与党や派閥への配慮を入閣者数という具体的な数字で表していたと言えます。

小泉首相は、その派閥政治による首相の指導力を低下させる影響や政治判断への介入を極力排除して構造改革を断行すると宣言したところからその支持率が高騰したこともありましたが、それは裏返せば、事の善悪は別として、首相制に期待される以上の強靭かつ速断的な指導力を発揮したいという野心の表れでもあります。

国民の直接選挙による首相公選制を待望する声が強力な指導者を望む国民から聞かれることがありますが、これも現在の調整型で個性の弱い首相を多数輩出してきた“首相制”から主導型で強い個性の指導者を生み出しやすい“大統領制”に近い方向へと転換したい、そして、自国の政権の代表者の権限を強化したいという意見の具体的な表現と解釈できるでしょう。

大統領選挙によって選出されたホワイトハウスに鎮座する大統領は、議会や所属政党から容喙されることなく、自らの判断と選択によって閣僚(長官)を自由に任命する権限を持っています。アメリカのような大統領制の国では、議会と内閣に直接的な力関係や配慮が存在しない為、各長官は大統領の基本方針と意志を実現する形で職務に没頭する事になります。


大統領の圧倒的な権限は、以下のようにアメリカ合衆国連邦憲法に明記されています。


第2条 大統領とその権限

第1節
第1項 行政権は、アメリカ合衆国大統領に属する。大統領の任期は4年とし、同一任期で選任される副大統領とともに……選挙される。

第5項 出生による合衆国市民……でなければ、大統領となることはできない。年齢35歳に達しない者、また14年間合衆国内の住民でないものは、大統領となることはできない。

第8項 大統領は、その職務の遂行を開始する前に、次の宣誓もしくは確約をなすことを要する。「私は合衆国大統領の職務を忠実に遂行し、全力を尽くして合衆国憲法を維持、保護、擁護することを厳粛に誓う。

第2節
第1項 大統領は、合衆国の陸海空および現に召集されて合衆国の軍務に服する各州の民兵の最高司令官である。
大統領は行政各部省の長官から、それぞれの部省の職務に関する事項につき、文書によって意見を徴することができる。
大統領はまた合衆国に対する犯罪につき、弾劾の場合を除くほか、刑の執行猶予及び恩赦を行う権限を有する。

第2項 大統領は、上院の助言と同意を得て、条約を締結する権限を有する。ただしこの場合には、上院の出席議員の3分の2の賛同が必要である。
大統領はまた、全権大使その他の外交使節並びに領事、最高裁判所の判事、及びこの憲法に任命に関する特別の規定あるもの以外の、法律をもって設置される他のすべての合衆国官吏を指名し、上院の助言と同意を得て、これを任命する。

第3項 大統領は、上院の閉会中に官吏の欠員が生じた場合には、その欠員の補充することができる。ただし、その任官は次の会期の終わりに効力を失う。 

第3節
大統領は、随時、連邦の状況につき情報を連邦議会に与え、また自ら必要かつ良策であると考える施策について議会に対し審議を勧告する。
大統領は、非常の場合には、両議院またはその一院を召集することができる。また閉会の時期に関して両院の間に意見の一致を欠く場合には、自ら適当と考える時期まで停会させることができる。
大統領は全権大使その他の使節を接受する。
大統領は、法律が忠実に執行されるように配慮し、また合衆国のすべての官吏を任命する。

第4節
大統領、副大統領及び合衆国のすべての文官は、反逆罪、収賄罪またはその他の重大なる罪過につき弾劾され、かつ有罪の判決を受けた場合は、その職を免ぜられる。

憲法修正第20条(1933年確定)
第1節 大統領及び副大統領の任期は1月20日の正午に終了する。その後任者の任期はその時より開始する。

憲法修正第22条(1951年確定)
第1節 何人も2回を超えて大統領の職に選出されてはならない。他の者が大統領として選出された場合のその任期の内、2年以上にわたって大統領の職にあった者又は大統領の職を行った者は、何人でも1回を超えて大統領の職に選任されてはならない。

憲法修正第25条(1967年確定)
第1節 大統領の免職、死亡、辞職の場合には、副大統領が大統領となる。

第2節 副大統領が欠員のときは、大統領は副大統領を指名し、指名された者は連邦議会両院の過半数の承認を経て、副大統領に就任する。

第3節 大統領が、その職務上の権限と義務の遂行が不可能であることを、文書による申立により上院仮議長および下院議長に送付したときは、大統領がそれと反対の申立を文書によりそれらの者に送付するまで、副大統領が大統領代理として大統領の権限と義務を遂行する。

第4節 副大統領および行政各部の長官の過半数又は連邦議会が法律で定める他の機関の長である官吏の過半数が、上院仮議長および下院議長にに対し、文書による申立により、大統領がその職務上の権限と義務の遂行が不可能である旨を送付するときには、副大統領は直ちに大統領代理として、大統領職の権限と義務を継承するものとする。
その後、大統領が上院仮議長および下院議長に対し文書による申立により、不能が存在しない旨を送付するときには、副大統領および行政各部の長官の過半数、又は連邦議会の法律により定める他の機関の長である官吏の過半数が、上院仮議長および下院議長に対し、大統領がその職務上の権限と義務の遂行が不可能である申立を文書により4日以内に送付しないときは、大統領はその職務上の権限と義務を回復する。
これに関し連邦議会は、開会中でないときは、48時間以内にその目的のために会議を召集し、問題を決定する。
もし、連邦議会が後者の文書により申立を受理した後21日以内に、又は議会が開会中でないときは会議召集要求の後21日以内に、大統領がその職務上の職務と義務の遂行が不可能になる旨を両院の3分の2の多数の投票により議決するときは、副大統領は、大統領代理としてその職務を継承する。反対の場合には、大統領はその職務上の権限と義務を回復する。


ブッシュ政権中枢を担う主要閣僚の大部分は、アメリカの国益や安全を侵害する国・勢力に対して強硬な軍事力を用いた外交政策を積極的に執るべきだとする“タカ派”とアメリカの伝統的価値観や建国の理念を普遍的なものとして尊重し、それらを排撃しようとする勢力には容赦なく軍事的制裁や圧力を加えるべきだとする“ネオコン新保守主義者)”によって占められています。

ブッシュ政権下の先鋭的で強硬的なタカ派として知られるのは、父親のジョージ・H・W・ブッシュにも仕えたチェイニー副大統領とニクソン大統領辞任の後を継いだフォード政権下で史上最年少の国防長官を経験したラムズフェルド国防長官がいます。頭脳明晰で非常に高いIQを持ち、ずば抜けた情報収集能力を持つと言われる外交の専門家ライス補佐官も外交政策では強硬派に属することになるでしょう。
ネオコンとして、よく取り沙汰される人物には、ウォルフォウィッツ国防副長官や前国防政策委員で軍事的圧力による外交政策を支持していたバールなどがいます。


ブッシュ政権の基本理念は、アメリカが至高の普遍的価値があると信じる自由主義と民主主義の世界全域の拡大であることは論を待ちません。
そして、それ以上に長期的な世界情勢に大きな変動(発展あるいは亀裂)を生む可能性があるのは、アメリカの利潤獲得に有利なグローバルスタンダードの確立を目指す自由貿易圏の拡大構想でしょう。

非対称な戦闘や軍事的緊張化の懸念としては、反米的な思想をマスメディアに乗せている政治体制や自由民主主義の理念に準拠しない国家や勢力に対するアメリカの『ユニラテラリズム(単独行動主義)』による独断専行的な圧力外交がありますが、これは、今後の国際政治のパワーバランスを考察する上で『超大国の政治行動と国際連合を中心とする国際協調路線の折衝』をどのような形で進めていくのかという視点から非常に本質的な看過すべきでない問題でもあります。

前記したアメリカのグローバルな経済政策が意図するところは『強い基軸通貨ドルによる市場経済の掌握』であり、それを具現化する為のFTAA(Free Trade Area of the Americas)やFTA(Free Trade Agreement)といった自由貿易協定の戦略的な推進を意味しています。
勿論、FTAを各国間の経済戦略に基づいて締結する事によって得られる経済的利益や円滑かつ密接な国家間関係といったメリットを無視することは出来ませんし、日本一国を例にとって見ればFTA拡大構想によって失うものよりも得るものの方が多いとすら言えます。

また、厳密には、FTAAは確実にアメリカ主導の貿易取引の枠組みを制定して利得を確保できますが、FTAはその締結相手国の選択によって自由度の高い貿易活動が主体的に行う事を保障するものであり、必ずしもアメリカの国益に適った協定ばかりではありません。
EPA経済連携協定)などの積極的活用によるアメリカと切り離された地域経済圏の構想、例えば、日中韓のアジア主要国によるFTA構想というものも理論的には実現可能ですが、現在のところ、アメリカ主導の世界経済システムから独立するメリットが日本には殆どありませんからその選択はあり得ないでしょうね。

中国経済の動向にも注目し続ける必要はありますが、中国の飛躍的な経済成長が何処まで継続し、先進各国の水準と同等のGDPに成長するまでにどれくらいの期間が必要なのか、あるいはバブル経済などによる足止めや付加価値の高い商品の生産の不足、景気循環的な不況の発生などはないのかといった幾つかの懸念があり、また、日中関係の複雑な歴史的背景や中国側の反日国民感情の燻りを考えると完全にアジア経済圏の側へ日本がシフトするには未だ時期尚早であると思います。
現在までの歴史で屈辱的な敗北を知らないアングロサクソン系の国家連合に加盟していれば、日本は絶対安泰だというある種の歴史主義の誤謬にはまり込んで盲信するのは拙速だと思いますが、アングロサクソン神話を信奉しないとしても、現時点ではアメリカ合衆国とイギリスの経済的・軍事的・戦略的な優位性は暫くは揺るがないだろうという見通しは強いようです。

日米同盟に基づく追従外交や自国防衛の責任放棄を指弾する反米的な国粋主義者や左翼勢力からの反動はありますが、日米同盟を根幹におく安全保障体制の対案が具体的に提示され、アメリカと対立や摩擦を起こさずに軍事的癒着を解消する外交政策の指針が立たない限りは、ある種の追従外交の円環からは抜け出せないでしょうし、また、その円環と被保護から脱却することが日本国民の実際的な利益や安全に直結するのかは未知数です。
日米安全保障条約の更新継続か段階的解消かというのは、憲法の9条改正問題とも密接に関わってくる問題ですが、いずれにしても国民の生命・身体・財産の保障に直接的に影響を与える国家政策方針の根本を変えようとする議論ですから、国民世論も十分に考慮した徹底的な未来志向の議論を急がずに行う必要があるでしょう。

憲法改正には国会議決による承認だけではなく国民投票が必要ですから*1与党の強行採決は有り得ませんが、国民感情の高揚による合理的判断を見失ったナショナリズムや単純に時代と世論の大勢に迎合するポピュリズムに陥る事なく拙速で一面的な判断による憲法改正は避けなければならないと考えています。



日本の外務省に拠れば、FTA,EPA,RTAを以下のような国家間、地域間の経済協定であるとして定義しています。


自由貿易協定(FTA): 物品の関税及びその他の制限的通商規則やサービス貿易の障壁等の撤廃を内容とするGATT第24条及びGATS(サービス貿易に関する一般協定)第5条にて定義される協定。


経済連携協定(EPA):FTAの要素を含みつつ、締約国間で経済取引の円滑化、経済制度の調和、協力の促進等市場制度や経済活動の一体化のための取組も含む対象分野の幅広い協定。


・地域貿易協定(RTA): FTAと関税同盟の双方を含む概念。WTO協定上は、双方とも関税及びその他の通商規則の撤廃とサービス貿易の障壁の除去を内容とする。また関税同盟は参加国間の共通通商政策を前提として、対外的には共通関税を設定することがFTAと異なる。関税同盟の方がFTAより参加国内の統合度は高い。



ウルグアイ・ラウンド*2の合意によって、1995年1月にWTO世界貿易機関)が成立する以前には、GATT(関税と貿易に関する一般協定)の協定合意によって、関税引き下げを主要な方策とする自由貿易化が推進されました。
WTOの設立目的は、世界経済の多角的貿易自由化の拡大と世界貿易における公正なルールや制度の策定及び国際経済の秩序維持であり、また、その為の経済外交の交渉の場を設けることでもあります。

WTOは、世界経済における指導力を持った約140の国々が加盟する巨大な機関であり、人民民主共和制(社会主義)を標榜する中国も2001年12月11日に正式加盟し、翌年2002年には台湾もWTOに加盟しています。
WTOは、国内産業を保護するような高率の関税措置を是正し、貿易取引を拡大する方向へと世界市場経済を先導してきましたが、その貿易対象は初期には鉱工業製品や食品といった物品でしたが、ウルグアイラウンドではサービス貿易や自国の特産的な農産物にも関税引き下げの措置が要請されて、日本でも牛肉やオレンジなどの輸入を自由化した事は記憶に新しいところです。

WTOは、総合的かつ包括的な多方面における貿易自由化を推進することで、現代のアメリカ発のグローバリゼーションの素地を法的・制度的に準備したと言えますし、貿易のみならず投資・自由競争・環境保護と経済発展などの課題に対しても積極的な自由化に向けた交渉の場面、交渉内容、交渉方法を提示してきました。
貿易と投資に関しては、未だ包括的な強制力のある国際ルールは存在しない状態ですが、投機家の巨額投資による貿易阻害行為などは禁止されているようです。ただ、国家と投資家の利害が直接的に衝突した場合の和解方法や紛争処理のルールが整備されていないことなどの残された課題も多い交渉分野であり、今後のラウンド交渉によって段階的にルールが整備されていくことと思います。

貿易と環境保護の関係については、世界経済は大きく二つの立場で対立している構図にあります。アメリカは、環境問題への関心と積極的貢献が先進国の中では最も低く、環境保護を必要以上に推し進めようとすれば国内経済の景気を低迷させ、貿易収益を大幅に減少させる懸念があるとして、CO2削減条約である京都議定書にも批准しないという基本姿勢を崩していません。
EU経済圏では、自然環境保護への関心と意欲が非常に強く、ワシントン条約モントリオール議定書といった多国間環境協定の遵守による貿易自制は勿論のこと、有害化学物質が発生する恐れのある工業製品の製造プロセスや廃棄方法に関しても厳格な罰則を伴うルール制定を求めています。
また、アメリカが石油燃料使用と地球温暖化の因果関係に関する科学的根拠が不十分である為に二酸化炭素を強引に削減する必要はないというような論調に対して、ヨーロッパ先進諸国は『事前予防的措置』も含めた慎重な経済活動や石油燃料使用を検討すべきではないかという姿勢を見せています。

経済成長や景気維持と環境保護とのトレード・オフの課題は、今後、世界市場経済の枠組みの中で重要性の度合いを増していくことが予測され、私たちの健康維持や生存保障とも直接の関係を持つ問題だけに目が話せない問題だとも言えます。


ここまで、WTOの世界経済における多面的貿易自由化と世界貿易の秩序維持に関する交渉とルール制定について説明してきましたが、ここで、自由貿易の推進と日本経済に関する問題へと少し視線を移しましょう。
留まる事を知らないグローバル経済の進展の中で、日本は貿易に関しては大幅な黒字を出している産業分野が多く、貿易経済活動は内需に依存する経済よりも安定的な収益を確保できる重要なものと認識されています。
その為、自由貿易協定(FTA)を、何らかの協定締結の目的がある対象国との間で推進することは、日本国や日本企業に経済的利益や対象国との連携強化というメリットをもたらします。
常識的に考えても、市場競争力がある程度ある国であれば、自由貿易を推進したほうが輸出入の市場規模を拡大できる事で得られる利益のほうが不利益よりも大きいと考えられますが、国内産業が未発達な開発途上国には特別の計らいをしなければ、国内産業を破綻させて多くの失業者を生み出す原因になるなどの問題も残されています。
FTAの理想的な利用法として、アフリカや中東、東南アジアなどの開発途上国に対する支援的な貿易ルール制定などもあるのですが、そういった世界全体での経済的豊かさの追求をどこまで理念に沿って推し進められるかが先進諸国の器量に問われていると言い換える事も出来るでしょう。

しかし、多面的貿易自由化に伴う痛みが先進国に全くないかと問われれば、『当然、自由化に伴って、競争力の弱い産業分野や中小企業には痛みがある』と応えなければならないこともまた厳しい事実だと思います。
WTOが自由化促進の是正措置を勧告するような経済体制というのは、保護貿易的な体制や閉鎖的な関税障壁やブロック経済体制ですから、競争原理が働くグローバル経済のうねりの中で、国内産業を保護する現在の国家の力には一定の限度があります。
日本企業の国際競争力強化が近年ますます強く叫ばれ、小泉首相抵抗勢力を押さえ込んで断固たる構造改革を推進しなければならないと主張するのは、こういったアメリカを中軸に置くグローバル経済の競争に入り込まざるを得ない苛酷さを増す世界経済情勢が大きく影響しているという事になります。

日本が最優先のFTA締結対象国としているのは、インドネシア、フィリピン、韓国、マレーシア、中国といった日本商品に対する関税率が高いアジア、ASEANの国々であり、日本の貿易黒字の拡大の為には、これらの国々との早期の関税引き下げを盛り込んだFTA締結が望まれています。
アメリカとカナダ、ラテンアメリカの経済圏、EU連合の経済圏に匹敵するアジア経済圏を構築する為には、少なくとも日中韓の関税障壁の低減と相互依存的な経済体制の連携が求められます。
理想的なアジア経済圏を構築することを想定すれば、ASEANの積極的な多面的貿易自由化も期待されるところですが、現段階では日中韓のみの地域連携協定(EPA)も難しい状況にあると言わざるを得ないように思えます。

*1:憲法96条 1.この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。2.憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

*2:経済外交上の交渉を『ラウンド』と呼び、国際経済は、ラウンドにおける交渉を通して、多角的貿易自由化や各国の経済制度調整を行ってきた。