経済

グローバリゼーションの光景:ポストコロニアリズム・生産の脱中心化・経済社会の規律性

アントニオ・ネグリとマイケル・ハートの『帝国』において描かれるグローバル化された世界の光景とは、アメリカの軍事的ヘゲモニーを始点として進行する経済的・社会的なスタンダード化によって眼前に開かれてくる。 それによって、軍事力による世界秩序であ…

ニ期目のブッシュ政権始動とアメリカ・日本の市場経済戦略

1月20日、アメリカのブッシュ大統領の政権2期目が、“世界秩序を維持する強いアメリカ”を前面に打ち出したワシントンでの就任演説と共に始動する事となりました。 現代の国際社会において、ブッシュが国民から民主的選挙を通して任命されたアメリカ合衆国…

日本とアメリカの医療保険制度と混合診療の問題

日本の医療保険制度や医療政策は、現在、数々の厳しい批判や叱責を受けているが、日本の医療制度や診療内容を、諸外国の医療の実際と比較すれば、医療機会均等の面を中心にして、世界で最高水準に近い医療が行われていると言えるのではないかと私は考えてい…

知的財産権の保護と情報社会における『所有形態』

情報技術の驚異的な進展によって、物理的な現実社会と電子的な仮想社会の分裂や対立が起きている中、法律がインターネットに代表されるサイバースペースでの犯罪や紛争に十分に対応出来ていないという話をよく聞く。 特に、著作権を中心とする知的財産権を従…

税制改革と増税による財政赤字削減

かなり長い記事だが、税金の納付と社会保障の給付の収支バランスを考える際のレファランスとして『税制改正大綱』を貼り付けておく。 少子高齢化が継続的に進行する社会保障基盤が安定しない情況であり、女性特殊出生率の急速な低下と未婚化晩婚化、若年層の…

ネオリベラリズムと竹中平蔵:自由競争原理と経済格差

経済成長を最大の目的とし、市場原理と自由競争に基づく市場経済のメカニズムに信頼を寄せるネオリベラリズムは、経済的自由を最大限に尊重します。 経済的成功者でない人たちの抱くネオリベラリズムの大きな問題点や不信の一つと考えられるのは、経済成長と…

リベラリズムの定義の変遷と社民主義

junp_mさんからのコメントを頂いてリベラリズムについて少し考えたのでメモを残しておきます。国家の市場介入や再分配を否定する経済的な自由や個人的な価値観に基づく愚行や思想信条など精神的な自由を最大限尊重するリバタリアニズムの立場がありますが、…

ケインズ的政策と資本主義経済の発展度

現代のマクロな市場経済は、景気循環論に示されるような周期的に訪れる不景気・インフレ・デフレの危険と長期的観点での恐慌発生の可能性といった不安定さを抱えている。 20世紀後半の主流だったケインズ経済学は、そういった市場経済の欠点を公共事業を中…

IMF(国際通貨基金)誕生とブレトンウッズ体制の崩壊

開発途上国への資金援助や新興市場国への政策助言などをして世界の経済状況を安定化させ調整しようとするIMF(International Monetary Fund:国際通貨基金)の経済介入政策の問題点については、id:cosmo_sophy:20041003に触れましたが、今回はIMF誕生…

グローバリゼーションの功罪と文化の固有性の喪失

冷戦構造の崩壊によって、自由経済市場が加速度的に未開社会を含む世界の全ての地域に拡大している。 それまで貨幣や商品が流通していなかった未開地域において市場経済化が進む事そのものが、良いことか悪いことなのか。経済学でいう所謂『規範的な部分』を…

シーパワーとランドパワーの政策方針

世界には実に約200の国々と無数の民族部族が存在するが、世界の有力な国々を大きく分割するとシーパワーとランドパワーに分ける事が出来ます。 シーパワーとは、アメリカ、イギリス、日本、オーストラリアなどに代表される海洋国家のことであり、ランドパ…

ケインジアンの時代は終焉したか?

現在のマクロ経済学の主流は新古典派経済学であるが、ケインズ経済学あるいはミクロ経済学の個人の合理的な経済活動によって基礎付けられた新ケインズ派の理論も大きな対立軸として存在している。 いや、一部の経済学者にとってはジョン・メイナード・ケイン…

世界経済へ権力を振るうIMF(国際通貨基金)

世界経済システムを自由自在に取り扱う絶大な権限を与えられている国際機関と言えばIMF(国際通貨基金)と世界銀行である。 自由自在といってもIMFと世界銀行の職員は、経済の動向を予測できる神ではないので結果としての成功が保証されているわけでも…

効率的・倫理的な資源分配

最近、日増しに気温が下がってきて、早朝はキーボードを打つ手が少し冷たくて動かし難いです。 今日は経済について少し書いてみます。市場主義経済のメカニズムは、アダム・スミスの古典的名著『国富論』の中では『神の見えざる手』として最適の資源分配を達…