社会学

近代社会システムの揺らぎとNEET人口増加の問題

「ニート」2002年で85万人、定義見直しで膨らむ――YOMIURI ON-LINE 内閣府の「青少年の就労に関する研究会」(委員長・玄田有史東大助教授)は22日、学校に行かず、働かず、職業訓練にも参加しない「ニート」と呼ばれる若者が2002年には85万人…

閉鎖的環境における性的虐待の隠蔽と歪曲:社会的弱者としての子どもの安全と幸福を願って

人間の性にまつわる尊厳を侵犯する性的虐待(sexual abuse)には、大きく分類して二つの加害者−被害者関係が想定できます。 一つは、全く見知らぬ他人が加害者となり、性行為(セックス)や猥褻行為(性に関連するあらゆる行為)などの性的被害を受ける『外部…

協力的ネットワークの拡大と共同体成立を可能とするインセスト・タブー:ウェスターマーク効果

id:cosmo_sophy:20050312において近親者による性的虐待が近親姦禁忌(インセスト・タブー)に抵触するという事を少し書きましたが、もう少し人間社会の禁忌について敷衍して考えてみます。 一定以上の普遍的コンセンサスを持つ社会通念や倫理規範である近親…

相補的な関係性(complemental relation)と対称的な関係性(symmetric relation)

id:cosmo_sophy:20050216において示された関係性は、『相補的な関係(complemental relation)』である。 相補的な関係性は、支配と服従の関係を戯画化した『主人と奴隷のパラドックス』で奴隷のいない主人は想定できないように、一方の行動パターンと他方の行…

“国民性の差異”を生み出す文化的環境と経験的学習

ナチスドイツの台頭によるユダヤ人迫害を避けて、アメリカに亡命したゲシュタルト心理学者にクルト・レヴィン(K.Lewin)がいます。 レヴィンは、科学的な還元主義に基づく行動科学的な心理学ではなく、知覚研究を基盤において心理現象の全体性や有機性を重視…