2004-09-01から1ヶ月間の記事一覧

孔子の考えた君子像

孔子の言行録である『論語』は、孔子の弟子たちによって編集編纂された“仁”を頂点とする徳性に関する道徳書であり、周を聖人君子が治める封建主義的な理想国家とする実践的な政治哲学の書でもある。 大人(有徳者)と小人(無徳者)の区別を様々な実例や場面…

ヒュームの著作。倫理道徳を語りたがる人間

前述したイギリスの哲学者デイビッド・ヒュームの著作には以下のようなものがある。 『人間本性論』1739 『道徳・政治論集』1741 『人間知性に関する哲学論集』1748(後に『人間知性の探究』1758と改題) 『道徳原理の探究』1751 『政治論集』1752 『英国史…

ヒュームの因果関係の認識を巡って。実在論と観念論

人間の知性は外部世界をどのように認識しているのか、あるいはどこまで正確に現象や事物を把握することが出来るのかという問題は、認識論や存在論の主要な命題として長い哲学の歴史を通して考え続けられてきました。 この哲学的命題の主題を簡潔にまとめれば…

社会心理学

社会心理学(Social Psychology)について、北大路書房の『社会心理学辞典』では大略以下のように定義されている。 心理学はよく行動の科学として定義されるが、心理学の中で個人心理学を、環境との相互作用を行う生活体に注目し、生活体の条件が変わるに従…

ジャンヌ・ダルク

昨夜、文書整理をしながら、ミラ・ジョボビッチ主演の『ジャンヌダルク』を見ましたが、中世の城郭や田園、武具、衣服髪形など風俗の映像がとても精細に美しく再現されていて興味深く見させて貰いました。 戦争の場面などはリアル過ぎて少々残酷で野蛮な感じ…

効率的・倫理的な資源分配

最近、日増しに気温が下がってきて、早朝はキーボードを打つ手が少し冷たくて動かし難いです。 今日は経済について少し書いてみます。市場主義経済のメカニズムは、アダム・スミスの古典的名著『国富論』の中では『神の見えざる手』として最適の資源分配を達…

芥川龍之介 『杜子春』

ここ数日、空いている時間を見つけて芥川龍之介の短篇を懐かしく読み返している。 29歳という若さで自らの意志によりこの世を去った芥川の考えた人間世界の縮図が彼の文学世界にコンパクトに織り込まれていると私は中学生の時分に漠然と考えていた。 更に…

進化生物学の周辺領域と生命倫理

進化生物学の知見や観点から人間の行動メカニズムや心理過程を研究する学問分野を、進化心理学と言います。進化心理学は非常に広範な領域を包摂する学問ですから、それと関連する分野には動物行動学だとか人間行動生態学だとかいうものもあります。進化心理…

孔子の言葉と温故知新の精神。学びの中にある悦び

人生において疑問を感じた時にふと孔子の言葉が聞きたくなることがある。 いや、単純な疑問であれば百科事典や科学書を紐解けばいいのであるが、孔子を読みたい時というのは、人生における方向性を対人関係の葛藤の中で見失った時、あるいは世俗的価値観の欲…

正しさの判定

人間は様々な事で意見を対立させ討論をし、あるいは論戦や闘争をするけれど、私達が断定的乃至確定的に判定できる正しさって実は『感覚的事実・経験的事実』に関することだけなのかもしれない。 目で見えるもの、耳で聴こえるもの、肌で感じるものといった人…